オーディションは完璧だった。
その後のテレビ出演でも、高い水準でアピールできた。
やたらと忙しそうなプロデューサーも二人のことを褒めていた。
しかし、千早には妙に納得できない部分がいくつかあった。
そして二人だけになった事務所の中に静かな怒声が響いた。
「どうしてわからないんですか。このままの高槻さんじゃダメなんです!」
レッスン場での出来事以来、急速に仲がよくなった二人の初めての喧嘩だ。
しかも千早が一方的に言いたいことを言うだけの、喧嘩とも呼べないような物。
それでもやよいは小さな声で自分の考えを漏らしながら、千早の説教じみた怒声を聞いていた。
「足を引っ張っているとは、言いません。でもこれでは私達は上に上がれないんです」
千早は約一時間ぶっ通しで話続けた。
彼女からみたやよいの欠点、そして対処法を。
だがやよいからすればそれは「大きなお世話」だった。
やよいはやよいなりのアイドルのあり方で、千早と共に活動していた。
今まで千早に怒鳴られていたことは、その「やよいやしら」を捨てろと言われているようなものだった。

伏し目がちなやよいの目に小さく光る物が浮かぶ。
ずっと堪えていた物が、涙となって流れ出した。
「あ…高槻、さん…その」
興奮して真っ赤になっていた千早の顔が、やよいの涙で一瞬にして青ざめる。
千早は今になって気づいた。
自分は仁王立ちのようして、パイプ椅子に座ったやよいを見下ろしている。
まるで両親のようだった。

千早はなんとかやよいを泣き止ませながら、自己嫌悪に陥っていた。
口からでる言葉はただ「ごめんなさい…」だけで、やよいを抱きしめていた。
十分もすると、落ち着いたやよいは壊れたラジオのように「ごめんなさい」を繰り返す千早をそっと抱きしめ返す。
「もう、大丈夫だよ。だからそんなに謝らないで」
どちらが年上かわからない光景だ。
千早が今にも泣きそうな顔でやよいを見る。
「本当…? ごめんなさい、私…」
「本当だよ。でも、ちょっと傷ついちゃったかな」
やよいがむくれたような顔を作る。
彼女の言葉で、千早の目からも溜まっていた大粒の涙が零れる。
「だから、お仕置き」
一呼吸置いて、やよいはにっこり笑って言った。
「え…お仕置き? 何のこ…んっ」
半分以上まともな思考が働いてない千早にやよいの言葉を理解できる暇はなかった。
言いかけた彼女の唇が、やよいの唇で塞がれ、開いたままの口内に小さな舌が侵入する。
レッスン場での出来事以来、すっかりキスにとりつかれたやよいの技術はかなり高くなっていた。
毎日ふざけるようにキスしていればうまくなって当然だ。
やよいの舌が獲物を探るように千早の口を侵していく。
驚いた千早は涙がたまったままの瞳を大きく見開くしかない。

やよいは薄目を開けて、笑うと一度唇を離す。
「キスするときは目をつぶる、だよ?」
それだけ言うと、今度は千早が何を言う隙も与えず唇を塞いだ。
舌が絡み、くぐもった声が無人の事務所に響いた。
たっぷり三分間、やよいの唇は千早を離さなかった。
二人が離れると唾液が糸を引き小さく光った。
それがあまりにも綺麗で、どこか妙な雰囲気が二人を包んだ。


千早:高槻さん、あ、あのっ・・・ やよい:もう1回ですかぁ?積極的ですねっ♪ 動画 アダルト動画 ライブチャット